はじめまして。『トトスク』というカフェをしていたエリです。
4月から『トトスクキッチン』のコーナーで、
ハーブを使った「おいしいスープ」と、
いろいろなものにかけて楽しめる「ハーブソース」のレシピを紹介していきます。
第1回目のテーマはウイキョウ。
ウイキョウは消化促進、消臭効果があり、なんでも古代エジプトで栽培されていた歴史上最も古い作物のひとつだとか。インドカレー屋さんにはお口直しとしてウイキョウの種子が置かれていたり、おなじみの胃腸薬にも配合されています。そうあの胃腸薬独特な香りは、この子の仕業だったんです。ウイキョウは、新生活で胃腸がお疲れ気味の4月にぴったりなハーブなのでは。
ウイキョウ(和名)とは、セリ科のハーブで別名フェンネル(英名)とも言います。葉はディルとそっくりですが、ウイキョウの方が甘い香りと苦みがあります。魚料理の匂い消しやピクルスの香りづけによく使われます。
種子はフェンネルシードと呼ばれ、アニス(八角)に似た香りでソーセージやパン、クッキーの風味づけに使われます。見た目はカレーなどに使われるクミンシードにそっくりです。
まるで玉ねぎのように太っちょな茎はフィノッキオと呼ばれています。スーパーなどではあまり見かけませんが、これがサラダや煮込み料理に使うととても美味なのです。フィノッキオは高級食材なので、自分で栽培してしまおうかと秘かにたくらんでいる私です。
葉も茎も種も、それぞれ楽しめちゃうなんて、素敵すぎます! ウイキョウ。
タラとウイキョウのスープ
材料 4人分
タラ(白身魚)3切れを一口大にカット
あさり 1パック(15〜20粒)
玉ねぎ 1個/1㎝角みじん切り
じゃがいも 小6個(大3個)/一口大にカット
セロリ 1本/筋を除き1㎝角みじん切り・葉はざく切り
ブロッコリー 1株(お好みの野菜でOK)/一口大にカット
白ワイン 150cc
トマト缶 1缶(ホール又はカット缶)
ショウガ 皮剥いて4スライス
にんにく 1かけ/みじん切り
コンソメキューブ 2個
水 800ml
オリーブオイル 大さじ4
塩 小さじ2
コショウ 少々
フェンネル 1パック(飾り用に少し残しておく)/粗みじん切り
作り方
1. 大きめの鍋にオリーブオイルとにんにくを入れてから火にかけ、弱火で焦がさないように香りが出るまで炒める。
2. 玉ねぎとセロリを入れ薄飴色になり甘みが出るまで弱火〜中火で炒める。
3. トマト缶を入れ潰しながら水分が飛ぶまで煮詰める。
4. ブロッコリー、タラを除く残りの材料をすべて入れあくを取りながら中火で10分煮込む。
5. 最後にブロッコリー、タラを入れあまりかき混ぜずに中火で5分煮る。お好みの塩加減に調整し、器に盛りフェンネルを飾れば完成。
ウイキョウとアンチョビの緑のソース
材料 4人分
アンチョビ 4切れ
くるみ 5粒/フライパンで乾煎り
フェンネル 20g/みじん切り
パルメザンチーズ 大さじ2
オリーブオイル 大さじ4
ニンニク 半かけ/みじん切り
塩 少々/お好みで加減
コショウ 少々
作り方
クルミをフードプロセッサーに入れ攪拌するか、すり鉢で細かく砕く。残りの材料を入れ混ぜ、程よくなめらかになれば完成。
フェンネルの甘い香りで食欲倍増!
今回は、緑のソースをマッシュポテトにかけて、ワインのお供にしてみました。このほかサラダのドレッシングとして、パスタのソースとして、パンに直接塗って、ゆで卵にかけて、と使い道はたくさん。もちろん冷凍してもOK。使う日の前日に冷蔵庫に移し、ゆっくりと解凍しておきましょう。
スープは具沢山なので、パンを添えればしっかりディナーにもなります。アイオリソースを添えるとグンとレベルアップ。アイオリソースは、マヨネーズ、おろしニンニク、フェンネルみじん切り、パセリみじん切りを混ぜるだけなので、とってもカンタンに作れます。
次の日は、残ったスープにご飯を入れてリゾットにしても美味しいです。もちろんスープパスタにしてもいいですね。それでも残ったら、冷凍保存しておきましょう。(具は、解凍すると崩れてしまうので、食べちゃいましょう)緊急な、はらぺこさんに役立つことでしょう。
スープに使う野菜は、うま味を吸うじゃがいも、ブロッコリーやカリフラワー、人参やキャベツなどがおすすめ。
ショウガは、必ずスライスを入れてください。みじん切りだとフェンネルの風味が負けてしまします。
もしフェンネルが余ったら、乾燥させてフェンネルティーとしてどうぞ。フェンネルシードは、そのままハーブティーとしても楽しめます。胃腸がつかれたなと感じたときにとてもおすすめのハーブティーです。
ハーブのようにドリーミーな魔法をかけるジョルジオ・トゥマの音楽
ウイキョウは、繊細ながら素材にちょっとした魔法をかけてしまう素敵なハーブですね。
そんなハーブのように音楽に魔法をかけてしまうアーティストが、イタリアのシンガー・ソングライターのジョルジオ・トゥマです。ブラジルの偉大な音楽家アントニオ・カルロス・ジョビンや、ビーチ・ボーイズのサウンドの要であったブライアン・ウィルソンが大好きというだけあって、彼の生みだすサウンドは、春の霞のようにおぼろげで優しい響きに満ちています。その美しいメロディー・ラインや、やわらかなコーラス・ワークには思わずうっとりとしてしまい、まるで夢の中で鳴っている架空の映画音楽を聴いているようです。
ジョルジオ・トゥマの音楽の魅力であるドリーミーな男女のコーラスは、緑のソースのように弦や鍵盤の響きに、ちょっとしたスパイスをふりかけてくれます。スープを最後までパンですくって食べる、にぎやかな食卓にはもちろんのこと、おなかがいっぱいになって、ちょっとおしゃべりをひと休みしたときにさりげなく聴こえてくる雰囲気もいい感じですね。あぁ、コクのあるボンドルフィのエスプレッソが飲みたくなってきました。
文/吉本 宏
イン・ザ・モーニング・ウィル・ミート (In the morning we'll meet)
ジョルジオ・トゥマ (Giorgio Tuma)