地元フリーペーパーの賞を総ナメ『Temple Restaurant』
私がレストラン選びで参考にしているものの一つが、色々な雑誌が企画・表彰を行なっているレストランアワードです。雑誌と言っても、中国のライフスタイル誌だったり、日本人向けのフリーペーパーだったりと色々あるのですが、中でも私が信頼しているのが欧米人向けのフリーペーパーのレストランアワードです。理由を意識しているわけではないのですが、おそらくは読者ターゲティングの問題で、自分の感覚と合わないことが多いからでしょうか。まだまだ中国の食が成熟していない(異に中華は別ですが、中華以外の料理への成熟度がまだまだ低い)中で、やはり中国メディアのコメントには、信頼感が持てないことが大きいです。で、欧米系フリーペーパーは、その辺の感覚がわりあい合うんですね。
今回はその中でも、北京で最も勢いのあるフリーペーパー「The Beijinger」のレストランアワードから。こちらのアワードの各部門賞で、ある見慣れないレストラン名が、いくつかの部門で重複して入賞しており、興味を持ったのです。それが今回訪れた『Temple Restaurant』です。
胡同の奥に佇むロケーションと、お店の中のギャップに驚き
さて、そのお店のロケーションはと言うと、天安門や故宮のほぼ北側に位置し、中国美術館や景山公園の近く、観光的にもロケーションは抜群!と言いたいトコロなのですが、実は結構分かり難い場所に有ります。なぜなら、お店は大通りから少し入った奥にあり、北京の中心部は近代的な街並みを少し入ると、古くからの胡同(フートン)と呼ばれる小さな路地が入り組んでおり、なかなか目的地に辿り着くのは大変なのです。タクシーに地図を見せてもなかなか分かってくれませんし、お店に電話してタクシーの運転手に説明してもらうのがベストです。
しかしそれ故、辿りつきた時の嬉しさもひとしお。レストランは文化財に指定された古いお寺のリノベーション建築。さらに中に入れば周囲(相当なローカル感ですから…)とのギャップに驚く欧米人が多いのでしょう。この時点で、期待感と興奮は最高潮に! 期待しちゃって下さい!
本格的なフレンチを、素敵な空間の中で、リーズナブルに!
この日は、ランチでの利用。135元(1,600円)でプリフィクスなのですが、前菜、メイン、デザートと選べて、最初にアミューズとデミカップで提供されるスープ、最後にはプティフールまでつくので、とてもリーズナブル感があります。これなら大満足ですね。しかし、ワインを飲もうとすると、グラスで一杯がランチの料金と同じくらいのモノまでラインナップされていましたから、要注意です。まあ、私は激務からの解放を言い訳に? 泡→白→赤と堪能させて頂きましたので、リーズナブル感は結構薄れてしまいましたが(苦笑)。
北京とは思えない、丁寧で繊細なお料理に、大満足!
アミューズからして、結構丁寧に作ってあるのが印象的で、色々な味を重ねて有るのが特徴的でした。パンも酒類が豊富な上に、結構美味しかったし、ほんの一口程度のスープも春の苦み野菜の味が利いた美味しいものでした。これだけで、北京の全体の食レベル(特に中華以外)を考えると驚きなのです。
前菜はフォアグラのテリーヌが良かったです。私自身は珍しいと感じたのですが、鴨のお肉も中に入ったテリーヌで、最後まで飽きがこなかったですし、良い意味でクセが綺麗に取り除かれたものでした。添えられた無花果のコンポートも、浅い詰め具合が新鮮で、全体的に軽やかで良かったです。メインは鶏のローストが印象的だったかな。デザートには、コーヒーのソルベにクリームを重ね、ティラミス仕立てにしたデザートを頂き、最後の締めにはコーヒーを頂きながら、プティフール。書いているだけで、結構なボリューム! 大満足でした。
夜はそれなりに取るみたいですが、ランチは本当にお得です。経験から言って、リーズナブルで人気がある店は絶対値上がりする気がするので、早めに行った方が良さそう?ということで、これから北京を訪れる皆様に、またお誘いしたいお店が増えました。北京も寒い寒い冬が終わり、春を迎えています。是非是非、北京に遊びに来て下さいね。