米国のインターネット広告売上が2011年には317億ドルに達し、前年比22%増と再び上昇気流に乗ってきた。米IAB(the Interactive Advertising Bureau とPwC( Pricewaterhouse Coopers)が発表した恒例のレポートによると、米国のインターネット広告はリーマンショック以降の一時の落ち込みから完全に脱し、再びCAGR(年平均成長率)20.3%の高度成長に復活してきた。
最初のグラフは、年間広告売上高(単位10億ドル)の推移である。2002年からのCAGRが20.3%となっている。
次は四半期単位のインターネット広告売上高の推移を、1996年から2011年までグラフ表示している。インターネット広告売上が落ち込んだのは、ネットバブル崩壊の2001年-2002年とリーマンショックによる世界大不況の2009年であったが、それ以外は少々の不況に見舞われても、インターネット広告は成長続けてきた。
インターネット広告のフォーマット(カテゴリー)別のシェアである。検索関連広告が米国では相変わらず強い。時代はサーチからソーシャルと言われているが、トレンドはそうかもしれないが、実際にはユーザーは検索に頼ることが多い。広告市場の将来予測でも、検索広告のシェアは当分大きく変わりそうもない。グーグルがまだまだ安泰ということか。
フォーマット(カテゴリー)別のシェアの推移を示す。検索広告のシェアは減ってきているのではなくて、微増してきているのが興味深い。それに見逃せないのは、米国では出遅れ感のあったモバイル広告が2011年に16億ドルと急増したことだ。これは前年比150%でロケット発進した。
メディア別の広告売上は次のようになっている。BroadcastとCableを合わせたTV広告売上高は約700億ドルと圧倒的なシェアを確保しており、米国市場でインターネット広告がTV広告に追いつくのは数年先か。でもインターネット広告はCAGR20.3%の急成長を続けており、追い抜いた新聞広告や雑誌広告との差をどんどん離している。
メディア別広告売上の推移を見て悲しいのは、新聞広告の落下があまりにも激しすぎることである。新聞紙広告が2011年に前年比9.2%減となったのは仕方ないにしても、底上げを期待した新聞紙サイトのインタネット広告売上が2011年に前年比でわずか6.8%増とあまりにも低い伸び率であった。今回のIABの調査結果では、米国のインターネット広告が前年比22%増と高成長しているのに対し、6.8%は低すぎる。新聞紙サイトの広告メディア価値が相対的に低下しているのだろう。