子育てもひとだんらく。
新企画の制作や旧企画のブラッシュ・アップ!
近年は海外アート事情の紹介ばかりしてきたので、久しぶりに、筆者の近況紹介をしましょう。実は、2012年9月22日~12月19日に東京都江戸川区の『しのざき文化プラザ』で開催された、江戸川限定の美術史(歌川廣重、鏑木清方、沢野ひとし、宮島達男など)を紹介する展覧会『えどがわ、アートな日和。』(観客4万人)の展示内容を企画・監修(ゲスト・キュレーション)して以降は、0~4歳児3名の子育てのため一年ほど新規企画案件を停止していました。
2013年は『サンキューアートの日─大江戸芸術書店めぐり』、『eco japan cup グランプリ・準グランプリ受賞者展』『100万人のキャンドルナイト─TOKYO MiLKY WAY』、『東京アンデパンダン展』、『ふれあうアート広場』といった定期開催イベントと、『ウェブ・ダ・カーポ』、雑誌『美術運動』等の原稿執筆、ウェブTVへの出演などをしていました。2014年入り後、末娘が1才となり、落ち着いてきたので、新企画・制作や旧企画のブラッシュ・アップを手掛け始めました。
『第4回東京アンデパンダン展』上位3組:おもいで学舎『omoide MART』
小松冴果『呼吸するように創る』、服部正『ハレトケ~未だかつてない折り紙
~』
2014年第1弾は、『第4回東京アンデパンダン展』(2013年11月15日~12月1日)での観客人気投票の結果上位3組によるシリーズ個展です。2014年2月から始まります。美術大学・大学院の在学生や新卒者、若手作家が出展者の大半を占めていたためか、友人や教員が多く来場し、絵画・立体のような比較的よくある表現ではなく、現代美術にはこれまであまり用いられていなかった素材・手法の作品が上位を占めました。再生作品を活用したインスタレーション、粘土版・陶板のレリーフ、折り紙で作ったオブジェなど。概要は以下の通りです。
第4回東京アンデパンダン展 人気投票上位者展
Vol.1
『おもいで学舎omoide MART』展(再生作品等によるインスタレーション)
会場:EARTH+GALLERY(東京都江東区木場3-18-17)
開場時間11:00~19:00(最終日は~17:00)
月休
Vol.2
『小松冴果 個展呼吸するように創る』(粘土版・陶板レリーフ、陶オブジェ)
会期:2014年3月1日(土)~ 3.16(日)
会場:EARTH+GALLERY(東京都江東区木場3-18-17)
開場時間11:00~19:00(最終日は~17:00)
月休
Vol.3
服部正 個展『ハレトケ~未だかつてない折り紙~』/strong>(折り紙オブジェ)
会場:EARTH+GALLERY(東京都江東区木場3-18-17)
開場時間11:00~19:00(最終日は~17:00)
月休
アンデパンダン展とは?
日本でも、第2次世界大戦後、『読売アンデパンダン展』をはじめとする、いくつものアンデパンダン展が開催されてきました。その中で、東京アンデパンダン展』は、サブプライム・バブル崩壊に伴う、2008年9月からの世界恐慌の中で、アーティストが生き残りのためアンデパンダン展形式を活用していこうという、以下の呼びかけ文に呼応して始められた、21世紀に始められた、いわゆる新興アンデパンダン展のひとつです。
二十一世紀初頭のアンデパンダン展のための檄文
何も新国立美術館で日本アンデパンダン展が開催されているからとか、横浜開港記念アンデパンダン展が行われたから、というわけではない。いまアンデパンダン展が必要だから開催されるべきである。アンデパンダン展とは、展覧会運営費としての出展料さえ支払えば誰でも出展できる無鑑査・無褒章・自由出品の展覧会のことである。公募展・団体展のように鑑査によって応募作品の三分の二が落選する展覧会や、ほとんどの作品が落選するコンペティションのようなものではない。
ジョルジュ・スーラ、ポール・シニャックらによってアンデパンダン展が始められた一八八四年とは、世界は様変わりである。当時はサロンの鑑査員達によるアバンギャルドな作品の出展拒否が問題となっていたのだが、いま世界は、米国のサブプライムローン問題に端を発する、百年に一度という経済危機の只中にある。日本への影響は出始めたばかりだが、昨年第四半期の実質GDPは年率換算で前年比12.7%減少という惨状だ。それでも日本は世界の中では影響がもっとも軽い方で、欧米経済の悲惨は言うまでもない。
オリンピック選手でさえ企業からの支援を打ち切られるほどの不況の中で、美術界が活動を続けていくためには、昭和恐慌、証券不況、平成金融危機などの経験が役立つだろう。対応策はリストラ。日本も前回の不況では、百貨店美術館が軒並み閉鎖し、企画画廊の多くが不活発化ないし展示スペースを一時閉鎖、助成金の削減・打切りが当たり前となった。この動きを受けたアーティスト側の対応策がアーティスト・イニシアティブ(自主活動)であり、公共や企業、商業画廊に頼らない活動スタイルの推進であった。
そこではもはや、企業の、公共の受け入れるもののみを展示する、ということでなくてよい。画廊で売れるものを作って媚びる必要もない。サロンの保守的な審査を気にしたり憤ったりすることもない。自分が額に汗して稼いだお金で作り、展示する作品であるから、胸を張って飾ればよい。だからこそ、各人のやりたいことが存分にでき、前衛性が守られる。現下の危機さえもまたひとつの機会として捉え、しぶとく生き抜くのみならず、却って良い仕事をしていこうではないか。
このような論拠から、我々は世界的経済危機の渦中において、時代はアンデパンダン展を欲しているものと思料し、同志とともにここに組織していくものである。
平成二十一年三月吉日 東京アンデパンダン展 発起人
深瀬鋭一郎 (深瀬記念視覚芸術保存基金 代表)
3月8日(土)に開催
『サブカル★マジカル聖地ツアー』
続いては、毎年3月9日前後に開催されている美術ファンへの謝恩イベント『サンキューアートの日』の一環、『サブカル★マジカル聖地ツアー』の紹介です。2002年以降のべ100名が参加してきた『大江戸芸術書店めぐり』ツアーのサブカルチャー版として今回が初開催。グッズ・書籍の探し方などを紹介します。参加者の希望により案内場所は変わりますが、中野、秋葉原、神保町、お台場、池袋の乙女ロードあたりを巡ろうかと思っています。「日ごろ興味はあるけど、行きづらい」と言っている貴方に大チャンスですよ。
開催期日は、2014年3月8日(土曜日)午前10時集合、午後7時解散、参加無料、諸経費のみ各自負担、定員8名で、参加者の希望に合わせて、サブカルチャーの聖地+パワースポットをとことん巡ります。だれでも参加できます。参加ご希望の方はメール送信でお申し込み下さい(申込先アドレス info@fmvapp.com)。メールのタイトルは『サブカル★マジカル聖地ツアー参加希望』として下さい。 集合、解散場所は参加者にのみ連絡します。『サブカル★マジカル聖地ツアー』は大江戸芸術書店めぐり』の特別ヲタク版です。
誰もがアーティスト!
『Art in the Park ~ふれあうアート広場~』
最後は、『Art in the Park ~ふれあうアート広場~』の紹介です。東京都東部・千葉県西部の住民やアーティスト達が長らく待望してきた、多くの人が集まる公園で、誰でもがアーティストとして自ら作品を展示・実演・販売し、ワークショップも開催できるイベントです。毎回15組前後のアーティスト、1~3千人の観客が参加しています。2014年は、5月10日、7月5日、10月25日のそれぞれ午前10時〜午後4時が開催予定となっています(日時変更の可能性もあります)。奮ってご参加くださいね!